*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====* ◆◇◆ めるまが 食加研 ◆◇◆ 第5号(H20.8.13.) ○ 北海道立食品加工研究センター ○ >>>> http://www.foodhokkaido.gr.jp/ *=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*=====*  食品加工研究センター(食加研)は、食品工業の発展を真摯にサポートする 皆さまのための試験研究機関です! ◇メールマガジン配信のご登録を受付けています。 <<ご登録のリンク先>>   >>>> http://www.foodhokkaido.gr.jp/news/annai_mailmag.pdf ────────────────────────────────── ◆◇◆ 目 次 ◆◇◆ 【1】研究員からの技術情報 =連載=    ◇第5話 どうして?なるほど? 過熱水蒸気 −過熱水蒸気処理技術のメカニズムとメリット− 【2】イベント情報    ◇平成20年度『食品微生物管理技術講習会』のご案内 ────────────────────────────────── 【1】研究員からの技術情報 ────────────────────────────────── ◆◇◆ 第5話 どうして?なるほど? 過熱水蒸気 ◆◇◆ −過熱水蒸気処理技術のメカニズムとメリット− 1.はじめに  最近になって「過熱水蒸気」という言葉がテレビのコマーシャルでも聞か れるようになってきました。この「過熱水蒸気」とはいったいどのようなもの なのでしょうか。「水の炎」などと言われる場合もあるようです。 過熱水蒸気は簡単に言うと、水を乾かすことのできる高温水蒸気のこと です。「水で水を乾かす?」。混乱される方もいらっしゃるかもしれません。 でも、この特徴が食品加工には様々な効果をもたらすことがわかってきま した。ここでは過熱水蒸気の特性と食品加工に用いた場合の効果につい てご紹介いたします。 2.過熱水蒸気とは? 沸騰した水から発生するのは水蒸気です。それをさらに加熱して100℃ 以上の状態にした高温水蒸気が「過熱水蒸気」です。白く見える湯気(ゆ げ)と違い、過熱水蒸気は無色透明です。身近な例では、沸騰したヤカン の注ぎ口や蒸気機関車の排気口からでてくる水蒸気の透明な部分が、過 熱水蒸気です。  過熱水蒸気を使った食品の加熱では、他の加熱方法とは少し違った状 態で加熱が行われます。たとえば、過熱水蒸気でジャガイモを加熱した場 合では、まず最初に、冷たいジャガイモに触れた過熱水蒸気は凝縮して表 面に付着し、その時の熱がジャガイモに伝わって加熱され始めます。この 段階の加熱は普通の「蒸し」と同じ状態です。  次いで、ジャガイモの表面にある水分は100℃以上の過熱水蒸気によ って加熱され、やがて100℃に達した時点で、表面の水分の蒸発が始ま ります。そして、表面が乾燥すると過熱水蒸気の100℃以上の熱でジャガ イモが加熱されます。この段階での加熱は「焼き」の状態に近くなります。 3.過熱水蒸気と食品加工  食品加工では様々な加熱方法が用いられていますが、そのほとんどは 湿熱加熱(蒸す方法や煮る方法)か乾熱加熱(熱風乾燥や遠赤外線のよ うな加熱方法)に分けて使われており、加熱された食品はどちらかの加熱 方法の特徴を濃く反映した品質となります。これは煮た魚と焼いた魚では、 風味や外観が大きく異なっていることでも容易に理解できると思います。  しかし、過熱水蒸気処理では上述したように、加熱初期は湿熱加熱であ り、表面が乾燥した後では乾熱加熱に移行します。この一つの加熱処理 の中で湿熱加熱と乾熱加熱を行うことができることが過熱水蒸気処理の 最大の特徴なのです。ここでは過熱水蒸気の特徴的な効果について説明 いたします。 a)エキス低減抑制効果 食品の中には生では流通できないものが数多くあります。これは生のま まで保存すると自分の持つ酵素によって溶けてしまったり、変色してしまう ことと、微生物の繁殖によって腐ってしまうためです。そのため、生鮮流通 できない食材では加熱処理を行って殺菌や酵素失活を行った後に冷蔵ま たは冷凍して保存します。  この時の加熱にはブランチング(煮る)処理が用いられますが、食材によ っては水溶性の栄養成分などの流出も起きてしまい、品質劣化が起きて しまいます。例えばホタテやバレイショなどを煮ると、うまみ成分のアミノ酸 や糖分などが、20〜60%も煮汁に流出してしまいます。  蒸した場合でもドリップがしたたり落ちるために、やはり同じくらいの栄養 成分が失われてしまいます。一方、過熱水蒸気の場合は加熱初期は表面 に水分が付着しますが、次第に表面が乾燥して加熱が行われるために、 栄養成分の損失はほとんど起こりません。  また、ホタテなどを煮た場合では加熱初期にタンパク質変性が起きるた めに急激に縮んでしまいますが、過熱水蒸気では温度や蒸気量などを制 御することで、あまり縮まない条件で製造することも可能です。これらのこ とから、過熱水蒸気処理では煮るや蒸す方法と比較して、栄養成分が多 く、ふっくらした状態で製品を作ることが可能となります。    b)色調改善効果と物性改善効果  食品の色は食品の品質を評価する上で重要な要素であり、消費者は美 味しそうな色をしている食材を選んで購入します。しかし、食品の色素は概 して不安定であり、加熱工程で退色や変色が起きたり、ボイル工程中に色 素が損失するため、鮮やかな色調を保持することは難しいと言われていま す。  過熱水蒸気処理を行った加工食品は従来の加熱方法と比較して「色上 がり」、「食感」が非常に良いといった評価が得られています。これらの現 象は過熱水蒸気による表面組織の急激な乾燥収縮がその主要因と考え られています。  「色上がり」については表面付近の水分含量が急激に減少するために、 相対的に色素成分の濃縮が起こり、視覚的に色彩が濃くなっていると考 えられています。また、「食感」については表面組織に乾燥した繊維の膜 が形成されるために、噛む時に大きな力が必要となり、結果として「歯ご たえが良い」と感じていると考えられています。実際にアスパラガスで試 験を行ってみたところ、ボイルしたアスパラガスは薄い緑色ですが、過熱 水蒸気処理したアスパラガスは濃い緑色でシャキッとした食感であるこ とがわかりました。 c)表面殺菌効果  過熱水蒸気は100℃以上の高温水蒸気であり,100℃以下の湿熱処理 としての効果とともに自らの熱量による乾燥効果を併せもつため、理論上 ではレトルト処理に匹敵する高い表面殺菌効果が期待できます。実際の 処理では食品内部は100℃以上にならないため完全殺菌は不可能です が、過熱水蒸気の特性を利用することで食品内部の熱変性を最小限に 抑制し、かつ食品表面の大幅な菌数低下が期待できるメリットがあります。  加えて、過熱水蒸気処理後の食品表面は乾燥していることから、残存 微生物の二次汚染も抑制できる効果もあります。加工食品にはカット野 菜や水産珍味などの加熱処理が困難な製品が多数存在し、近年の衛生 管理に対する関心の高まりや小売店や流通業界による自主規格の設定 から製品の菌数制御に腐心している食品メーカーも多くなっています。そ のため、過熱水蒸気による表面殺菌技術にも関心が高まっています。 4.おわりに  過熱水蒸気には上記の効果の他にも、加熱時の酸化防止効果、脱臭 効果、表面改質効果、冷凍耐性向上効果などがあることもわかってきて います。また、これらの効果を実際の製品に応用した製品も発売され始 めており、今後も過熱水蒸気を用いた加工食品が増えていくだろうと思 います。 <<詳しいリンク先>> >>>> http://www.foodhokkaido.gr.jp/news/note/jyohou_080813-SHS.pdf  <<さらに詳しいリンク先>> >>>> http://www.nedo.go.jp/database/index.html   ユーザー登録が必要です。  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)  成果報告書データベース(平成14、15、16年度 産業技術助成事業報告書) <<お問い合わせ先>> ◇北海道立食品加工研究センター 企画調整部相談指導科  担当:阿部     TEL 011−387−4115 ※当センターでは、過熱水蒸気処理技術のわかりやすいパンフレットを   作成いたしました。   ご希望の方は、担当までお問い合わせ下さい。 ────────────────────────────────── 【2】イベント情報 ────────────────────────────────── ◆◇◆ 平成20年度『食品微生物管理技術講習会』のご案内 ◆◇◆   食品企業のみなさまに向けて、食品の品質・衛生管理技術のスキル・ア ップを支援するために、今年も『食品微生物管理技術講習会』を数回に わたって開催しております。内容は、講義と実習を予定しております。     ○ 初級・第2回 定員16名 9/9(火)〜11日(木) <<詳しいリンク先>>  >>>> http://www.foodhokkaido.gr.jp/kosyu-kai/biseibutu_080909.htm <<お問い合わせ先>>  ◇ 北海道立食品加工研究センター 企画調整部 技術情報科 担当:中川・中野     TEL 011-387-4114 / FAX 011-387-4664 ────────────────────────────────── -//////////////////////////////////////- ◆◇◆ 編集発行 ◆◇◆ 北海道立食品加工研究センター  企画調整部技術情報科  TEL:011-387-4114  FAX:011-387-4664 ◆メールマガジンへのご意見・ご要望等、  研究に関するご要望やアイデアについて、  お聞かせ願えたらありがたく思います。 ◇このメールマガジンの内容について、  無断での転送、転用することは、ご遠慮下さい。 <<このメールマガジンのお問い合わせ先>> E-mail : magazine@foodhokkaido.gr.jp (迷惑メール防止のため、全角文字で表示しています。  メールアドレスは、半角文字で入力してください  ) -//////////////////////////////////////-