今回紹介する機器は、「発酵乳製品の香気特性マッピングによる品質評価技術の開発」という課題で導入したものです。
チーズの香り成分を測定、自社製品の香りを客観的に評価して、サンプル間の香気特性が視覚的に解りやすく表現出来る香気特性マップの作成や、品質管理などに利用することができます。
機器の詳細な紹介と画像は、こちらの一覧からご覧いただけます。
- ○ガスクロマトグラフ
- 食品に含まれる「におい成分」を、その性質ごとに、成分の含有量を高精度で分析します。
- ○ファイバーコンディショナー
- ガスクロマトグラフ測定時に使用する固相マイクロ抽出(SPME)ファイバーのクリーニングを行います。
- ○においセンサー
- 食品のにおいを測定し、他サンプルとの比較や標準ガスに対する類似度およびにおいの強さを算出する装置です 。
- ○官能試験解析システム
- 官能試験結果のデータ解析、記述式アンケートのキーワード抽出などを行います。
- ○低温恒温機
- 温度をコントロールし、最適な条件で食品を保管、保存します。
- ○データトレース(センサー固定タイプ)
- 食品を加熱する際の熱媒体の温度や食品自身の温度、また、保存試験を行う時の保存庫の温度などを測定し、記録する装置です
- ○グラフィックレコーダー )
- 食品加工等における温度などのデータ集録をリアルタイムで行う携帯形のグラフィックロガーです
これらの機器は、他の用途にも利用可能ですので、お問い合わせください。
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◇食品加工研究センター
食品技術支援G (相談指導)
TEL 011−387−4115
今回紹介する機器は、「地域独自スターターを利用した高品質発酵乳製品の開発」という課題で導入したものです。
プロピオン酸菌を利用した半硬質系チーズや、酵母を利用したカマンベールチーズの製造開発に利用することができます。
機器の詳細な紹介と画像は、こちらの一覧からご覧いただけます。
- ○高速液体クロマトグラフィーシステム(アミノ酸・ペプチド用)
- 味に深く関与するアミノ酸やペプチド(アミノ酸が複数結合した成分)の含有量を高精度で分析します。
- ○高速液体クロマトグラフィーシステム(糖類測定用)
- 甘みに深く関係する糖類(糖の仲間の成分)の含有量を高精度で分析します。
- ○低温恒温恒湿機
- 温度と湿度の両方をコントロールし、最適な条件でチーズを発酵、熟成、保管します。
- ○真空凍結乾燥機
- 乳酸菌スターターの製造の際に、凍結乾燥して乾燥菌体を調製するのに使用します。
- ○遠心分離機
- プロピオン酸菌などの乳酸菌の培養液を遠心分離し、菌を集めることに使用します。
- ○真空包装機
- チーズをフィルム袋で包装する際、袋内の空気を除去した状態で密封シール保存性を向上させる装置です
これらの機器は、他の用途にも利用可能ですので、お問い合わせください。
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◇食品加工研究センター
食品技術支援G (相談指導)
TEL 011−387−4115
レトルト食品は、レトルトパウチ、瓶、缶などの気密性の容器に詰められた食品を細菌胞子の死滅する121℃(約2気圧)、4分以上の高温高圧条件で殺菌した食品です。
缶詰や瓶詰め製品の歴史は古いですが、レトルトパウチの歴史は比較的新しく、1969(昭和44)年に大塚食品が販売した「ボンカレー」がわが国ではじめて販売された商品です。
レトルト食品は120℃前後で殺菌処理するため商業的無菌性(通常の流通条件下にて発育する有害な全ての微生物を死滅させた状態)が確保されており、常温流通が可能で非常に賞味期間が長い経済的な食品です。
レトルト食品の製品開発に取り組む際には、耐熱性・酸素透過性などについて使用する容器の検討を行うとともに、加熱温度・処理時間など最適な殺菌処理の条件選定や処理後の味、香り、色、食感の変化など、高温加熱処理による種々の影響について配慮する必要があります。
食品加工研究センターでは、平成22年2月に新たに試験用のレトルト殺菌装置(日阪製作所製RCS-40RTGN)を設置しました。本装置は、様々な種類の容器に対応した試験を行うことができ、加熱処理中の製品温度をモニターし、F値(*)の測定が可能な装置で、現在センターでは高齢者向けの軟らかな食品の研究開発に使用しており、企業の試作試験のための設備開放(有償)も実施しています。
(*)F値とは
レトルト殺菌の殺菌強度を示す指標で、121℃、1分と同等の殺菌強度をF値「1」とすると定められ、レトルト食品の場合、食品衛生法ではF値4以上(121℃、4分以上)の殺菌強度と規定されています。
殺菌強度は、温度と時間によって変わりますので、適切な殺菌条件を検討するためには、F値の測定が重要になります。<<お問い合わせ先>>
◇食品加工研究センター
食品開発G 柿本
TEL 011−387−4118
試料に含まれている元素の量を、原子の吸光特性を利用して測定する機器で、主に金属元素の定量に使用されます。
ほとんどの物質は、通常いくつかの原子が化学結合した形で存在していますが、化学結合が切れて1つ1つの原子になると、それぞれ特定の波長の光を吸収する性質があります。
この性質を利用して元素の含有量を測定しますが、元素を個々の原子とするために、高温状態にしなければなりません。
この度導入された機器では、バーナーで燃やした炎の中で原子化する「フレーム法」と、炭素製の炉を通電して高温状態にする「グラファイトファーネス法」の、2つの方法を選択して使用できます。
測定する場合には、元素ごとに吸収する光の波長が異なることから、それぞれ専用の光源(ランプ)が必要ですが、当センターにはナトリウム、カリウム、カルシウムなどの約15種類の専用ランプを備えています。
また、測定するためには、試料を液体(水溶液)にする必要がありますので、測定に先立って、通常、「灰化」と呼ばれる前処理が必要となります。
食品の無機成分測定では、原子吸光分光光度計による測定が公定法として採用されており、食品に含まれるミネラルや重金属類の測定に使われています。
ミネラルは人間に必要な元素で、健康増進法では栄養成分表示としてミネラルの含有量を表示することや、一部のミネラル成分の強化、低減などの強調表示、栄養機能食品としての表示を行うことが認められています。
一方、食品衛生法により一部の重金属には食品に含まれる量の規格が定められているので、食品製造する際には留意する必要があります。
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◇食品加工研究センター
食品開発G 田中、佐々木
TEL 011−387−4119
人間の目の解像力はおよそ0.1mmといわれており、それより小さいものを観察するためには、光学顕微鏡や電子顕微鏡が使用されます。
電子顕微鏡には走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)がありますが、当センターに今回導入されたSEMは、特に試料表面の微細構造を幅広い倍率で観察することが可能な装置です。
同装置の特徴のひとつとして、一般的な高真空SEMでの観察に加え、「低真空SEM」による観察機能があり、乾燥食品のような絶縁物試料を金属コーティング等の前処理なしに観察することが可能となりました。
また、試料冷却機能(クールステージ)を付属しており、試料を冷却しながら水分蒸発や電子線損傷を軽減し、含水試料を収縮・変形の少ない状態で観察することができ、食品のような多水分試料に適した画像観察が可能となっています。
さらに、エネルギー分散型X線分析装置を用いることにより、SEM像を観察し ながら、そこにどんな元素が存在しているかを同時に調べることができます。
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◇食品加工研究センター
応用技術G 清水 英樹
TEL 011−387−4126
○全自動細胞解析装置
微生物、動物細胞及びそれらの成分等の分画、定量、解析等を可能とするバイオ関連機器であり、食品製造工程中の微生物動態解析や細胞を用いた保健機能等の解析評価試験に用いる。本機は励起効率が高く安定性に優れた固体レーザー等の最新システムを装備している。
○高速液体クロマトグラフ有機酸分析システム
有機酸は重要な食品成分の一つであり、分析頻度の高い成分である。精度高く分析するためには、夾雑物の妨害を避けることが可能な選択性の高い高感度なシステムを必要とする。本機は有機酸分析に優れたポストカラム検出(pH緩衝化法)を可能とする高性能な有機酸分析システムである。
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◇食品加工研究センター
食品バイオ部 長島 浩二
TEL 011−387−4128
液体中のアミノ酸を分離・分析する装置です。分析カラムにイオン交換樹脂カラムを使用し、カラム中を流れる溶媒の濃度を変化させて40種類以上のアミノ酸を分離することができます。誘導体化試薬には安定性の優れたニンヒドリンを用い、分析カラムでアミノ酸を分離した後でニンヒドリン試薬と反応させるポストカラム方式で行うことにより再現性の優れた分析が行えます。これらの操作を自動制御で行い、約40サンプルを連続で自動分析することが可能です。
アミノ酸は人間の体に必要な栄養素の1つで、食品中のアミノ酸は、いくつものアミノ酸分子が鎖状に繋がりタンパク質を構成している「構成アミノ酸」やアミノ酸1分子で存在する「遊離アミノ酸」などがあり、食品からの抽出方法を選ぶことにより、それぞれの存在形態のアミノ酸が分析できます。
「構成アミノ酸」は人体に吸収されるアミノ酸の大部分を占めており、アミノ酸スコアなどの食品の栄養価の評価に利用できます。「遊離アミノ酸」の中には旨み・甘味などの味を示すものや肝機能改善効果やストレス軽減作用などの機能性を持つものがあり、食味や機能性の評価などの1つの指標として利用できます。
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 水産食品科 田中 彰
TEL 011−387−4119
生物はそれぞれ何千何万という遺伝子を持っていて、様々な状況に応じてそ れらの遺伝子を使い分けています。逆に言いますと、生物のその時点での遺伝 子の発現状況(利用状況)を解析することにより、その生物が何をしているの かが判ります。
例えば、発酵中の酵母の遺伝子発現状況を解析することにより、その発酵条 件で酵母がどの程度ストレスを受けているのかが判ったりします。また、ヒト の細胞に新しい薬や食品の機能未知成分を与えて、その薬や成分がヒトの細胞 にどのような影響を及ぼしているかということが判ったりします。
従来の手法では、ある程度影響を受けるであろう遺伝子について解析するこ とは可能でしたが、想定していなかった影響までは解析できなかったり、なぜ そのような影響を受けるのかについての情報は他の実験を積み重ねるしかあり ませんでした。
当装置は微生物や動植物細胞の全遺伝子の発現状況(利用状況)を解析する ことができる装置で、新しい機能性食品の開発や発酵条件の改善に役立てるこ とが可能です。
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 畜産食品科 八十川 大輔
TEL 011−387−4118
「メタボロミクス」とは生体内における多種多様な代謝物を網羅的に解析す る先端技術の一つであり、現在主に医療分野における疾患のマーカー検索や医 薬品開発で急激に発展し、応用研究が進められています。最近、食品分野にお いてもこの研究手法が注目され、機能性食品における機能成分の有効性や安全 性評価、また発酵食品における最適化技術などに利用され始めています。
当センターに導入される食品メタボロミクスシステムは、超高速液体クロマ トグラフと二つの質量分析計を組み合わせた分析装置(UPLC-MS/MS)であり、 一度の分析で数百種類以上の成分の解析と同定が可能となっています。この様 に一度の分析で食品に含まれる多くの成分の全体像を把握することが可能なこ とから前記したような食品開発を迅速かつ効率良く進めることができます。
また、成分の全体的特徴を解析し、把握できることから様々な食品原料の同 一品種間における成分の全体像比較が可能であり、それらのデータから産地判 別や原料品質の区別などの新たな解析装置としても利用が期待できます。さら に、本分析装置の導入によって北海道の農水産資源を活かした食品の優位性を 明確にするとともに将来的に開発が期待される個々の体質に合わせた次世代機 能性食品(テーラーメイド機能性食品)の開発が一層推進できるものと考えて います。
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 農産食品科 太田 智樹
TEL 011−387−4120
カルシウムは、骨格形成や筋肉の収縮と弛緩、細胞内での情報伝達システム等 ヒトにとって生体・生命維持活動に必要不可欠な元素です。しかし日本人のカル シウム平均充足率は90〜96%でしかなく、カルシウムの摂取不足が深刻な問題と なっています。
このようなカルシウム不足を補うためには、カルシウムの摂取量を増やすこと はもちろん、摂取したカルシウムを効率よく吸収する必要があります。
当センターでは食物繊維の一種であるグアガムにリン酸基を化学的に導入する ことによって小腸下部でのカルシウム吸収率を高めるとともに、食物繊維が元来 持っている発酵性による大腸におけるカルシウム吸収の亢進、さらには水溶性食 物繊維が元来持っている整腸作用を併せ持った複合機能性食品素材の製造技術を 開発しました。
ただし、この機能性食物繊維を実際に食品素材として使う場合には新規の食品 添加物としての認可が必要であり、実用性が今後の課題となっています。
詳しくはこちらこちら(PDF)
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 農産食品科 渡邉 治
TEL 011−387−4120
皆さんもギャバという言葉を聞いたことがあると思います。ギャバはグルタミ ン酸から作られるアミノ酸の一種ですが、タンパク質の構成成分ではなく、脊椎 動物の脳や脊髄中などに存在し、主に抑制性の神経伝達物質です。その他いろい ろな食品にも含まれていることが知られており、皆さんも少しずつ知らずに食べ ているものです。
血圧を下げる効果が知られており、また、ストレスを緩和するとか不眠に効果 があるという研究もあります。某お菓子メーカーで売り出したギャバ入りチョコ が受験生に良く売れたという話はちょっとしたニュースにもなりました。
食加研では様々な乳酸菌の研究を行っており、その中でギャバを作る乳酸菌を 見つけました。この乳酸菌を用いて野菜などを乳酸発酵させると、ギャバを多量 に含む食品ができます。この性質を利用して、ギャバを多く含む機能性飲用酢、 乳酸発酵清涼飲料水、ギャバ入りビールを試作してみました。機能性飲用酢は、 原料として麦汁と摘果トマト(青い未熟トマト)を、乳酸発酵清涼飲料水は酵素 処理したポテトペーストを、ギャバ入りビールはもちろん麦汁を使用しました。
試作品のギャバ濃度についてですが、機能性飲用酢は20mlあたり約17mg、乳酸 発酵清涼飲料水は100mlあたり20〜30mg、ギャバ入りビールは100mlあたり30〜40 mgということで、どの試作品も血圧降下作用に十分な濃度のギャバを含んでいる ことが判りました。
詳しい報告書はこちら(PDF)
配布資料はこちら(PDF)
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◇北海道立食品加工研究センター
畜産食品科 八十川 大輔
TEL 011−387−4118
フードインフォマティクスとは、食本来の基本情報(味、物性など)、食が 生体に与える生理機能情報(栄養、健康機能など)、食と微生物との関係情報 (安全性、発酵動態や発酵産物など)など食に関する科学的情報を味覚や匂い などのセンサー技術や遺伝子レベル(ゲノミクス)、遺伝子発現(タンパク質、 酵素)を介した代謝物(メタボロミクス)などのオミックス解析手法を活用す ることにより数値化(可視化)するという研究アプローチの新概念です。
それらの情報データベースを活用することで食のトレンドに迅速に対応する 食品技術の最適化や画期的な機能性食品(個々の体質に最適化したテイラーメ イド機能性食品)の開発、さらには酒や味噌等の伝統的な発酵食品製造技術の 最適化や技能の数値化による新たな発酵食品の製造技術の創出等、革新的な食 品技術の構築を図ることが可能となります。
当センターではこれまでの技術蓄積や最新の分析機器を活用し、「フードイン フォマティクス」研究による食品開発を推し進めます。
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◇北海道立食品加工研究センター
農産食品科 太田 智樹
TEL 011−387−4120
− FOOMA JAPAN 2009 アカデミックプラザにて発表 −今回のコラムでは「なぜ,過熱水蒸気処理した水産物が淡泊で上品な風味 なのか?」「なぜ,過熱水蒸気処理品がガスオーブンで加熱した製品より美味 しいのか?」について、ご説明したいと思います。
ガスオーブンによる焼成や熱風乾燥による乾燥では食品は高温空気の中で 加熱するために、空気中の酸素によって食品表面の油が酸化を受けています。 油の酸化は異味異臭を招き、食味を落とす可能性があります。(焼いたサンマを 冷蔵庫に保管して、次の日に電子レンジで温めてから食べると「やけに油臭い なぁ」と感じた方は多いと思います。)
一方、過熱水蒸気処理による焼成では、庫内が過熱水蒸気で満たされている ために、空気がほとんど入り込まない状態(極低酸素雰囲気)で加熱することが 可能です。酸化しやすい高度不飽和脂肪酸が多く含まれてるサンマなどでも、 過熱水蒸気による加熱では、表面の油脂はほとんど酸化されないため、生臭さの 少ない、美味しい焼きサンマをつくることが可能です。
これまで「極低酸素下の加熱」は実用上でははっきりとした効果は見られ なかったのですが、最近では大手小売店のパネラーにも評価されることが増えて きており、「極低酸素下の加熱」が過熱水蒸気処理の大きなメリットの一つに なってきました。
詳しい報告書はこちら(PDF)
ポスターはこちら(PDF)
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◇北海道立食品加工研究センター
技術情報科 阿部 茂
TEL 011−387−4114
乾燥工程は加工食品を製造する上で、とても重要な工程の一つです。 近年、乾燥製品の高付加価値化の一つとして素材の風味を残した高品質な低温 乾燥を行いたいという要望が出てきています。しかし、低温乾燥は一般的に 長い時間を要し、生産の効率が低いという問題があります。1970年代に高電場条件下で水分の蒸発が促進される現象が認められていました。 食品の乾燥工程において、この現象が応用できれば、高品質な乾燥物を低温でも 効率良く生産できる可能性があります。
今回は、この現象を食品の乾燥技術として利用することを目的にその特徴を 調べ、乾燥機への導入方法を見出すための検討を行いました。
研究では、高電場をつくる電圧の種類や乾燥食材を載せる試料用容器の 導電性による影響などの基礎的特徴とともに送風と電場とを組合せた場合や 食材を使用した場合の蒸発促進効果の程度を調べました。今回の研究では、 水分蒸発の促進現象による蒸発量を「可視化」することで、この現象の特徴や 効果の大小を視覚的に評価し易くするという方法を用いました。
検討の結果、装置化にあたり交流電圧を用いることで試料容器の導電性に 影響されないこと、乾燥処理面積を増やすための電極形状に関する知見が 得られました。食品の乾燥工程に高電場処理を導入することで、乾燥効率を 向上させられる可能性があることがわかりました。
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◇北海道立食品加工研究センター
応用技術部 主任研究員 熊林 義晃
TEL 011−387−4124
最近、少しずつ認知度が上がっている小果実アロニアの特徴は、アントシアニン を含むポリフェノール含量の圧倒的な多さにあります。このことが「アロニアは味 がイマイチ」との評価と共に、その機能性に期待が膨らむ要因ともなっています。
著者が以前、4種のアロニアについてフォーリン・デニス法によりポリフェノー ル含量を測定した結果、各々590,739,777,888mg/100gで、 平均748mg/100gとして公表しました。これでも結構多い値ですが、旧農水省 北海道農業試験場でアントシアニン含量1,185mg/100gとの分析結果を出されて その値の大きさに驚きました。アントシアニンはポリフェノールの一種ですから、 ポリフェノール含量の方が大きな値となるはずですが、上記の分析結果は逆転して いるからです。
その原因には、分析方法の違いやアロニア試料の収穫熟期の違いなどが挙げられ ますが、分析値が逆転していることが気になって、ポリフェノール分析の再検討を 行いました。
このメルマガでは再検討の結果を報告し、上記のことで密かに悩まれた方々には その後の経緯を、そうでない方々にはポリフェノール含量の多いアロニアの魅力の 一端をお伝え出来れば幸いです。
改めて分析方法や前処理方法を調べると、「五訂日本食品標準成分表分析マニュ アル」に、発酵茶、コーヒー用としてポリフェノールの抽出方法が載っていました。 以前は水抽出でしたので、改めて上記「マニュアル」の方法を含めて5種類の抽出 方法でアロニアのポリフェノールを抽出し、前述の方法で分析しました。
その結果は以下の通りです。
@熱水で沸騰水浴中50分環流抽出:1,305mg/100g。A熱水抽出: 827mg/100g。B水抽出:723mg/100g。C80%エタノールで沸騰水浴中 30分環流抽出:1084mg/100g。D80%エタノール抽出:946mg/100g。 この結果から、@(上記「マニュアル」の抽出方法)が今回試みた抽出方法の中 では一番良好と思われました。
それから暫く経って、あるテレビ局から「アロニアのポリフェノールはどれだけ 多いかブルーベリーと比べてみたい」との取材があり、上記@の抽出を行った後に 分析しました。その結果、アロニアが1,463mg/100g、買って来られたブルー ベリーが376mg/100gでした。アロニアのポリフェノール含量の多さにあらためて 感動した出来事でした。
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 部長 田中 常雄
TEL 011−387−4121
1.アロニアの由来 アロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa Elliott)は、北米原産の バラ科の小果樹で、200年程前にヨーロッパに移入され、ロシアには100年 程前に移入されました。日本には1976年の日ソ(現ロシア)農業技術交流事業 に基づき、ソビエト連邦から農林水産省果樹試験場に種子が導入され、農林 水産省北海道農業試験場(現 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 「北海道農業研究センター」)に配布されて適応性検定が行われて来ました。 アロニアはその花序と花の構造がナナカマドと相似しており、アントシア ニン色素含量が多いため果実は濃い紫色を呈しているので、ロシアでは一般に 「黒い実のナナカマド」と呼ばれています。
2.アロニアの主な成分 アロニアの酸味を感ずる主な有機酸はリンゴ酸です。食物繊維(総量)は5.6g /100gであり、五訂日本食品標準成分表の果実類(生)の中で比較すると、すだち (果皮、生)(10.1g/100g)、かりん(生)(8.9g/100g)、ゆず(果皮、生)(6.9g/ 100g)に次いで高含量でした。抗酸化活性物質であるポリフェノール(アントシ アニン色素もポリフェノールの一種です)やカロテン、β−クリプトキサンチン も多く含まれています。ビタミンCは、果実としてはそれほど多くはありません。
3.アロニアの食品加工事例 大滝村(現、伊達市大滝区)のアロニアアイスやジャムを皮切りに、旭川市の 壺屋総本店などからアロニア製品が生み出されています。 当センターでは大滝村との共同研究を行い、アロニアの鮮やかな紅色を持ち、 高い抗酸化活性を有するアロニア酢を開発しました。また、ワインの試作を行い、 「ばんけい峠のワイナリー」で製造されているアロニアワイン開発のお手伝いを しました。
詳しい報告書はこちら(PDF)
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◇北海道立食品加工研究センター
食品開発部 部長 田中 常雄
TEL 011−387−4121
伝統的調味料であるみりんは、良質な甘味などで本格的な風味を与え るとともに、各種調理効果を有する調味料として見直されてきています。 一般には、「本みりん」という名称で流通しており、その他の伝統的調味 料である醤油、味噌、食酢、鰹節、昆布や椎茸などとともに日本料理の 調味に欠かせないものとなっています。
本みりんは、焼酎又は醸造用アルコールに米麹及び蒸したモチ米を加 え、20から30℃に保ち、40〜60日間程度糖化熟成した後、圧搾ろ過し て製造されます。本みりんの製造工程には、清酒や焼酎などの醸造品の ような酵母によるアルコール発酵工程がありません。かわりに、長期間に 渡る糖化熟成工程では、米麹のもつ酵素反応を最大限に活用し、みりん モロミ中のモチ米から糖分やアミノ酸、ペプチドなどを分解生成させるとと もに、これら分解性生物同士の化学反応やメイラード反応などを生じさせ、 エステル・アルコールなどの香気成分などが生成されています。この工程 により、本みりんは、良好な甘みと香気に優れ、コクと深みのある芳醸な 風味をかもし出すものとなっています。
本みりんの特徴としては、@穏やかでまるみのある上品な甘味、A深 みのある美しいテリ・ツヤ、B幅広いふくらみのあるうま味や、C風味豊 かで良好な香りなどが付与されるとともに、D煮くずれ防止、Eアルコー ルによる防腐効果や、Fアルコールによる魚介類などの臭いのマスキン グ効果などの優れた調味・調理効果があげられます。
本みりんの国内市場シェアは、宝酒造やキッコーマンなど一部の大手 企業で占有されています。道内では、田中酒造などが道産モチ米のはく ちょうもちを用いて、道産本みりんを製造しています。当センターにおい ては、モチ米の代わりにバレイショなどを用い、抗酸化性の強い本みり んタイプの甘味飲料素材の開発を行ってきました。地域資源を活用した 付加価値の高い新規製品の開発が叫ばれている昨今、新たなアルコー ル含有甘味飲料素材製造技術の一つとして今後有望な技術シーズと考 えています。
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◇北海道立食品加工研究センター
食品バイオ部 部長 本堂 正明
TEL 011−387−4127
ホタテ貝は道内で毎年約40万トン水揚げされていて、北海道の主要産 品の一つとなっています。ホタテの貝柱は冷凍品(玉冷)、乾燥品(干し貝 柱)、珍味(燻油漬)などに加工され高級品として流通されますが、貝殻、 外套膜(ヒモ)、生殖巣(卵、精巣)、中腸線はほとんどが加工副産物とし て廃棄されています。ホタテの中腸線(ウロ)は毎年約3万トン排出されて いて、重金属や水分を多く含むため、処理が難しく大きな環境問題になっ ています。
これまでにホタテのウロの処理としては、ウロに含まれる重金属を酸で 処理し低減した後、水洗し、釣り餌や飼料、肥料として利用する技術開発 が進められていますが、我々は別なアプローチとして、微生物の物質変 換能力に注目して、ウロの有機物を微生物に食べさせて水素ガスを発生 させ、ウロの有機物を低減化すると同時に有用ガス生成を行うという研究 を行いました。
ウロにはタンパク質が多いので、このタンパク質を分解して水素を生成 できる微生物を道内数ヶ所の水田土壌等から探しました。探し出した微 生物は酸素を苦手としている嫌気性菌で、Clostridium属に属する22株 を見出しました。次に、この微生物が実際にウロを分解して水素ガスを生 成するかを調べました。微生物の培養とウロを分解する作業は、嫌気性 グローブボックスという特殊な装置の中で行いました。酸素があるとこの 嫌気性菌は死滅してしまうので、この装置内を窒素・水素・二酸化炭素の 混合ガスで置換して、無酸素環境のもと、前述の嫌性菌22株から有望 な性質を持つ菌をさらに選抜しました。その結果、ペースト状のウロの有 機物を低減化させるとともに、水素ガスを効率良く発生させる菌株を見 出しました。
この研究成果を事業化ベースにのせるには、まだまだ高いハードルが ありますが、今後このような研究が進めば、ウロだけでなくタンパク質が 豊富である他の水産加工副産物にも利用が可能となります。例えば、加 工副産物を微生物で分解し、分解物の上澄はそのまま排水し、残渣はカ ドミウムと分離し肥料等に利用するとともに、生成した水素ガスは必要な エネルギーの一部として利用するという「環境に貢献できるシステム」を構 築することで、加工副産物の処理コストの削減が可能になると思います。 今後も、加工副産物の活用による環境に貢献できる研究に取り組んでい きたいと思っています。
詳しい報告書はこちら(PDF)
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部水産食品科
能登 裕子
TEL 011−387−4119
− ねばねば成分の機能性 −「ガゴメ」はコンブ目コンブ科トロロコンブ属で、北海道では「ガゴメコン ブ」、「ガモメ」、「ガモ」とも呼ばれ、函館市から噴火湾を経て室蘭市の辺 りまで分布し、特に函館、戸井、恵山、椴法華、南茅部の沿岸に多く生息 しています。ガゴメの葉表面はかごの目に似た凹凸が斜めに並んでおり、 特徴的な外観をしています。昔は旨味も乏しいために商品価値が低く、雑 海藻的な扱いでほとんど見向きもされませんでした。
ところが最近では、ガゴメの葉を切ったときに出てくる「ねばねば」成分 に様々な健康機能作用があると報告されたため、雑海藻から一躍スター に上りつめ注目されはじめています。この「ねばねば」の主要成分は粘性 多糖「フコイダン」と呼ばれ、抗腫瘍活性や免疫賦活作用、血圧低下作用 などの健康機能作用が見つけられており、一般の方々も「フコイダン」とい う名前を耳にしたことがあると思います。
さて、当センターでは函館の工業技術センターおよび北大水産学部と共 に、ガゴメ粘性多糖類の食・医分野への応用に関する研究開発に取り組 んでおり、ガゴメ等からフコイダンを含む多糖の抽出技術の開発と、その 多糖の機能性評価について担当しています。これまでの研究から、ガゴメ から抽出される多糖は、温度やpH等の抽出条件によって粘度が大きく変 化するとともに、胃ガン細胞の増殖抑制作用(抗腫瘍活性)も大きく変わ ることが分かりました。
また、この作用は抽出した多糖を加熱したり、有機酸溶液に溶かしたり することでも影響を受けることがわかりました。ガゴメから抽出した多糖の 粘性が高いほど抗腫瘍活性が強い傾向があり、多糖の粘性と抗腫瘍活 性には何らかの相関があるのではないかと考えています。「ガゴメ多糖の 粘性は何に起因するのか?」そして「抗腫瘍活性のメカニズム?」「粘性と 抗腫瘍活性の詳細な関係?」などの解明を目指して研究に取り組んでい ます。
ここで注意してほしいのは、「抗腫瘍作用があった」ということで、即「ガ ンに効く」と確定できないことにあります。本研究では胃ガン細胞を使った 試験段階であり、「抗ガン作用」の研究には、動物試験、臨床試験を行う 必要があるので、くれぐれも冷静な解釈を願っています。ともあれ、函館 地域からガゴメを利用した様々な商品が生み出されていますので、注目し て頂きたいと思っています。
最近の食生活では、水産食品、特に海藻に対するヘルシーイメージが 浸透してきており、日本だけでなく海外でも水産食品に対するニーズが急 速に盛り上がっています。この度ご紹介した「ガゴメ」をはじめ、道内に豊 富に存在する海藻資源の有用成分の研究を進めるとともに、高付加価値 な食品開発への活用に取り組んでいきます。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部水産食品科
佐々木 茂文
TEL 011−387−4119
北海道は水産資源が豊かですが、地域興しの目玉として地場で漁 獲される様々な魚介類を使った“地場産魚醤油”の製造が脚光を浴 びています。また、水産加工に伴って生じる内臓や皮などからも高 品質な魚醤油が製造可能であり、限りある資源を無駄なく使う環境 に配慮した食品づくりにもなることから取り組み例も増えており、 昨年9月時点で当センターの把握分だけでも、魚醤油の製造および 試作を行っている企業等は27社を数えます。これらの道産魚醤油 は家庭用や業務用に市販されている他に、加工食品の調味にも利用 され、従来品とはひと味違ったおいしさづくりに活用されています。
一方で道内の魚醤油製造企業間の連携や交流も進んでおり、20 06年から当センター主催で行ってきた道内の魚醤油製造者および 関連企業や公設試験研究機関よりなる「魚醤油研究会」が母体とな り、昨年4月に事務局を企業に移管した「北海道魚醤油研究会」が 発足し、一層の技術力向上や情報発信に向けた取り組みを行ってい ます。
このように道内で魚醤油づくりが活発化しているのと同様に、道 外でも魚醤油造りを行う例が増えており、既存の魚醤油と品質を明 確に差別化できる北海道発の魚醤油製造技術の開発が求められるよ うになってきました。
当センターでは得意分野である発酵技術を活かし、微生物スター ター(2種の耐塩性酵母および乳酸菌)を利用することで、従来の 魚醤油が持つ諸課題(魚臭さ、麹を利用した際の色の濃さ、うま味 のバラツキなど)の克服に成功し、特許を取得しました。
この製法で造られる次世代魚醤油は、魚臭さが顕著に改善された だけでなく、酵母スターターが造り出す甘い香りや燻煙様の香ばし い香りなどの芳香もあり、従来の魚臭い魚醤油が使用できなかった 食品にも幅広く利用できます。さらに、魚醤油の製造に麹を使うと 色が濃くなる点も、微生物スターターの働きで色調を淡くすること も可能で、濃い色調を嫌うイクラなど魚卵製品にも利用可能です。 次世代魚醤油はこれまでになく様々な食品に利用可能であり、魚醤 油の新たな可能性を拓くものといえます。
当センターはおいしいだけでなく、環境に優しい魚醤油づくりを 今後も積極的に支援していきます。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部発酵食品科
吉川 修司
TEL 011−387−4122
ヒトは生活に有益な微生物を食品に上手に利用することで発酵食 品を作りだしてきました。たとえば水産物の発酵食品には、塩辛、 くさや、しょっつる、馴れずしなど多くの種類があります。しかし、
最も良く知られている塩辛を例に上げても年間4万トン弱の生産規 模であり、水産物の発酵食品は新たな商品開発の可能性がある分野 です。
農産物の大豆から造られる代表的な発酵食品には醤油と味噌があ りますが、水産物でも魚を用いて魚醤油が造られています。現に東 南アジアではナンプラーなどとして古くから造られ、近年では当所 の試験研究成果により道内でも美味しい魚醤油が製造されるように なっています。では魚から造る「味噌」はどうでしょう?
ここでは「魚の味噌」をご紹介します。私たちは、本道の魚貝類 を原料に微生物で発酵させた、新しい食感の水産加工食品を造り出 す試験研究を実施してきました。この「魚の味噌」はすでに醸造試 験を終え、現在は道内民間企業数社が製造販売または商品化に向け た試験を行っております。
「魚の味噌」は、魚貝類本来のうま味と発酵食品独特の風味を兼 ね備えた今までにない食品です。半練り状で見かけや色は大豆の味 噌と似ていますが、大豆の味噌には少ない遊離アミノ酸や香り成分 に満ちています。原料となる魚貝類は、サケ、ニシン、ホッケ、タ ラなどのほか、ホタテなどの貝類、イカ、タコなど様々な水産物が 対象となり、それぞれ特徴のある良好な風味の食品が出来ます。
いわゆる”魚貝の出汁”が効いた”味噌風”発酵調味料です。使 い方は未知数で和風にも洋風にも利用できます。また大豆を一切用 いませんので、食物アレルギーなどのため大豆を摂食制限される方 も利用できる味噌風の調味料です。
「魚の味噌」をはじめ多くの発酵食品はビタミンや必須アミノ酸 など人間に不可欠な物質を含んでいます。私たちはこれらの分析の 他に「魚の味噌」がもつ、血圧の上昇を和らげる効果や、老化を予 防する抗酸化活性などの保健機能性についての研究を進めており、 良好な結果を得ています。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部機能開発科
濱岡 直裕
TEL 011−387−4124
北海道では、リンゴ、ブドウ、さくらんぼ、もも、なしなど様々な果実が栽 培されています。今回は、これら北海道の果実のうち、シーベリーという 果実について紹介したいと思います。シーベリーは、学名をHippophae rhamnoides L.といい、これまで中国からヨーロッパ、ロシア、カナダなど幅 広い地域で栽培されてきた果実です。中国では沙棘(サジー)と呼ばれ、 ジュースなどが日本に輸入されているので、こちらの名前のほうが有名か もしれません。
アメリカやカナダではシーバックソーン(Seabuckthorn)とよばれますが、 thornには棘という意味があり、その名の通りに棘のついた枝に果実が実 ります。冷涼な土地で生育することから、日本でも数年前から北海道や岩 手県に導入され、研究機関などで栽培方法や収穫方法などの検討と技 術普及が進められており、徐々にですが収穫量は伸びてきています。
シーベリーは、品種によっても異なりますが、直径1cm前後の山吹色 やオレンジ色の粒状で、果肉はとても柔らかく、小さな種が入っています。 果実は、オレンジのような柑橘系の香りを有するとともに、レモンのような 強い酸味と独特の風味があります。海外では、そのまま果実を生で食べ るよりも、冷凍品、ジュース、ジャムなどに加工して食べられており、ハン ドクリームやオイルなど化粧品類にも利用されています。道内では数年前 より、プリンのソースやゼリーとして期間限定で発売されています。
また、シーベリーは、ブルーベリーやハスカップなどの小果樹のように健 康機能性も期待できる果実です。シーベリーには、他の果実と比較してビ タミンE、カロテンが豊富に含まれています。さらに、果実には珍しく脂質 が豊富に含まれていることから、特徴的な脂質成分の存在が期待できま す。このように、シーベリーは、菓子原料としての利用だけではなく、機能 性を活かしたサプリメントなど消費者の健康志向に応えた食品開発が期 待できる果実であるといえます。
これまで当センターでは地域の特徴を生かした作物としてハスカップ、 アロニアといった小果実の加工や機能性に着目して研究を進めてきまし たが、平成19年度から平成20年度まで道内産シーベリーの成分特性と 用途開発に取り組んでいます。現在も試験中ですが、今後この研究を活 用した新たな加工品の開発につながればと思います。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部農産食品科
佐藤 理奈
TEL 011−387−4120
消費不況が大きな問題となっているこの頃ですが、酒類業界はかなり 以前より不況感が漂っていました。消費者に対する販売数量の統計を見 ますと、ここ5年間で4%程減少しており、一次ブームとなった本格焼酎 でさえ消費の伸びが鈍化してきています。理由は様々ですが、主に人口 構成の変化と若年層における飲酒量の低減傾向であると言われています。
このような背景から酒類業界でも対抗策を講じており、若者や女性を ターゲットとした商品開発が盛んになっており、梅酒を含めたリキュー ル類が注目されています。最近では、果実や野菜などを使ったリキュー ルの開発が活発化しています。リキュールと言うと、カクテルを作る際 に使われるのが一般的ですが、そのまま氷を入れて飲んだり、炭酸で割 って飲んでいる人が最近は多いようです。こうしたリキュールの消費者 には比較的若い人や女性が多く、色や香りの変化に富んでいるところに ファッション性を感じているものと思われます。
当センターにおいても、共同研究や技術支援の中でリキュールを試作 しており、様々なノウハウを得ております。最近ではハマナスの花びらを 用いたリキュールを試作し、良好な酒質の作ることができました。この様 に、多様な原料に対応して製品開発ができるように努力をしております。 昨年の5月には「特産酒類(果実酒・リキュール)の製造」に関して最低製 造数量を引き下げる特区法も施行されましたので、地場産原料を用いた リキュールの開発してみたいと言う希望がありましたら、一度相談してみ てください。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部
富永 一哉
TEL 011−387−4122
食加研には道内企業の方々から多くの相談が来ますが、今日はその中 から共同研究へ発展し、商品化へ結びついた事例をご紹介します。サツ ラク農協から「ヨーグルトを原料とした洋菓子の素材を作りたい」と相談が あったのは、2004(H16年度)のことです。
ヨーグルトは爽やかな酸味を持つ清涼感のある食品ですが、洋菓子へ 利用する場合には、いくつかの問題がありました。水分が80〜90%と高い ため、ホイップクリームへ添加した場合にはスポンジなどの生地に水分が 移行してしまいます。また、ヨーグルトには乳酸菌が含まれているため、発 酵の進行に伴い酸味が強くなり、風味を変化させてしまいます。そこで、ヨ ーグルトを濃縮して砂糖を加えたところ、とても濃厚でかつ清涼感のある 試作品が出来ました。
その後、2007(H18)年度に共同研究へ発展、製造条件を確立し、共同 特許を出願しました。翌年にはスケールアップ試験を行いラインでの製造 方法について検討を行いました。そして昨年、サツラク農協に濃縮装置が 導入され、現在は製造ラインを用いた最終段階の試作を行っています。
ペースト状のこの製品は、道産牛乳100%のヨーグルトを減圧濃縮して製 造しており、濃厚な風味が特徴です。低温で濃縮しているため変色がほと んどなく、ヨーグルトそのままの乳白色をしています。乳酸菌を殺菌してい るため、他の素材と混ぜても風味が変わることがありません。また、原料 はヨーグルトと砂糖のみを使用、更に冷凍保存が可能です。
そのまま固めてヨーグルトケーキに、生クリームと混ぜてヨーグルト風味 の爽やかなワッフルやシュークリームに、ゼリーを作ってカップケーキの アクセントに、ドレッシングやスープなどの料理に、幅広い利用が考えられ ます。ピュアブランの商品名で間もなく発売予定です。ご期待下さい。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部プロセス開発科
河野 慎一
TEL 011−387−4126
馬鈴薯は、北海道の畑作における基幹作物のひとつで、私たちの日常 生活でなじみのある男爵やメークインをはじめ様々な品種が、生食用や 加工食品原料として利用されていますが、生産されている馬鈴薯の約半 分は「でんぷん原料」となっています。
馬鈴薯でんぷんは、コーンスターチや甘藷、小麦でんぷんなど他ので んぷんとは異なる馬鈴薯でんぷん特有の性質を持ち、その特性を活か した固有用途として、水産練り製品、麺類、菓子類などの各種加工食品 に利用されています。
しかし、食品に対するニーズの多様化に伴い、各種加工食品に用いら れるでんぷん原料にも、従来とは異なる特性が求められ、物理的あるい は化学的な処理による、いわゆる「加工でんぷん」が開発・実用化されて います。
このような背景のもと、私たちは、馬鈴薯でんぷんの新たな用途拡大の 可能性を探るため、粉砕機の一種であるボールミルを用いて、機械的エ ネルギーを馬鈴薯でんぷんに加えることによる改質を試み、その特性変 化と用途について検討しました。
その結果、以下のような性質の変化に関する知見が得られました。
(1)粒子形状はややつぶれた状態となり、粒度分布はわずかに大きくな る。また、粉体としての流動性が向上する。
(2)結晶構造が変わり、加水や加熱なしで糊化状態となる。
(3)水、油などの吸液性が増大する。流動性が向上すると、ハンドリング性が良く扱いやすい粉体材料となり ます。また、糊化状態へと変化した結果、粉体としての結着性が増加す る傾向が認められました。これらの特性は、錠剤様食品などの基材とし ての用途に適していると考えられました。また、吸液性の増大は、液状物 質の吸着担体として利用できる可能性が考えられました。
以上、ボールミル処理した馬鈴薯でんぷんの特徴を簡単に紹介しまし たが、その他にも「こんな用途にはどうだろうか?」など、ご意見やアイデ アがありましたらお気軽にご連絡いただければと思います。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部プロセス開発科
清水 英樹
TEL 011−387−4126
北海道は全国有数のお米の産地です。かつての北海道米は「おいしく ない」、「すぐ硬くなる」などと評価され、全国的にも低い扱いを受けてきま した。これは、北国という土地柄もあり、「寒さに強いもの」、「収穫量の多 いもの」、という農業特性を重要視する傾向にあったからです。ところが、 時代を経るにつれ、食生活の欧米化をはじめとする日本人のライフスタ イルそのものの変化が進み、同時にお米の消費量が低下し続け、お米 が余るようになってしまいました。そこで、政府は生産量を調整する「減 反政策」を行うようになり、あちらこちらで水田が休耕され出しました。
質より量、となっていた北海道も、このままではお米が売れずに、どん どん減反させられるという危機感から、「打倒コシヒカリ」を目指して良食 味米の品種開発へとシフトしました。そして、多くの努力の結果、「ほしの ゆめ」「ななつぼし」「きらら397」「おぼろづき」「ふっくりんこ」などのおい しいお米が登場し、現在では高橋はるみ北海道知事を先頭に、北海道 米を食べようという「米チェン」運動が展開されています。
さて、昨年来世界的な穀物相場の高騰により、小麦や大豆、トウモロコ シなどの価格が急上昇し、そのほとんどを輸入に頼っている日本の食品 産業界には衝撃が走りました。食糧自給率が40%と、先進国で最も低 い日本の食糧事情の弱さを露呈した形となりました。
この対応として、政府は今後の10年間で食糧自給率を10%増加させ、 50%にするという方針を発表しました。その中心となったのが、実は米 粉です。現在の消費量1万トンを50万トンにする、という計画です。米粉 を食糧自給率回復の救世主に、と考えているわけです。
これまで、お米の粉は「上新粉」や「白玉粉」といったもので、ダンゴや モチ菓子、せんべいなどの和菓子向けの材料となるのが主でした。とこ ろが、近年研究開発が一気に進み、新たな製粉技術の導入により、ケ ーキやパンといったこれまでにはお米から作ることが考えられなかった ジャンルでの製品が開発されるようになりました。
当センターでも、道産米を用いた米粉の利用に関して取り組みを行い、 加工適性の優れた微細米粉とその微細米粉を用いた製パン技術の開発 を行いました。また、この研究により、製菓、製パンに向けた米粉の加工 適性評価技術を蓄積することができました。また、この間に道内企業に より新規な米粉の開発も進んでおり、少しずつではありますが米粉を利 用した製品開発も始まっています。おいしくなった北海道米は、米粉にな ってもよりおいしいものが生まれてくる可能性があり、新たな価値を持つ 製品の開発が期待されます。これからも、「粒から粉へ」をキーワードに 研究開発に取り組んでいきます。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部農産食品科
山木 一史
TEL 011−387−4120
海藻色素フコキサンチンは、ニンジンに含まれるβカロテンやト マトに含まれるリコペンと同じカロテノイド色素の1つです。コン ブやワカメなどの褐藻類に多く含まれ、陸上植物にはほとんど見ら れない色素です。コンブやワカメが褐色なのは、このフコキサンチ ンの少し青みを含んだ黄色とクロロフィルの緑色が合わさって見え ているからです。
褐藻類におけるフコキサンチンは、光合成のために太陽の光を効 率良く吸収する役割を果たしています。太陽の光は水中で吸収され るため、海藻が生息している海中では、陸上と異なり、水深につれ 光の強さが減少したり、届く光の色(波長)が異なります。そこで、 光を効率良く集めるために、褐藻類はフコキサンチンという色素を 必要としています。
ところで、このフコキサンチンを摂取すると、ヒトの健康にどの ような効果があるのでしょうか。カロテノイド色素には抗酸化作用 や抗ガン作用など疾病に対して効果があることが知られています。 フコキサンチンにも疾病に対する効果があるのではないかと考え、 実験を行いました。実験には疾病のモデルとなる培養細胞を使用し て、海藻から得られたフコキサンチンを含む抽出物を添加した後、 細胞を培養した時の状態を調べました。
実験の結果、正常な細胞には影響を与えず、ガン細胞のみ減少さ せる効果や、脂肪細胞に蓄積していた脂肪を分解して減少させる効 果が得られました。このことから、フコキサンチンには、ガンや肥 満といった生活習慣病予防効果を期待できることがわかりました。
ワカメやコンブなどの褐藻類を積極的に食べることは、生活習慣 病の予防につながる可能性があります。また、フコキサンチンはス ジメやアイヌワカメといった、あまり利用されていない海藻にも多 く含まれています。このようなフコキサンチンの機能性を活かした 未利用海藻の新たな利用方法についても、今後取り組んでいきたい と考えています。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部水産食品科
田中 彰
TEL 011−387−4119
− ポテトの用途拡大に向けて −マッシュポテトは馬鈴薯を加熱により軟化させ、熱いうちに組織 を裏ごしして細胞をばらばらに分離した食品です。ポテトサラダや コロッケ、イモモチなどの惣菜類、スープ原料などに利用されてい ます。マッシュポテトは熱いうちは、適度な粘性と馬鈴薯の風味が 相まってとても美味しく食べることができます。
しかし、残念なことに時間が経過し冷えると粘りやなめらかさを 失い、ボソボソして美味しさが失われてしまいます。これは加熱に より吸水膨潤し、糊化したデンプンが、温度の低下とともに老化し て加熱前の状態にもどってしまうことによります。冷凍した場合も でんぷんの老化による食感の悪化や解凍時に離水が起こります。
マッシュポテトの欠点であるでんぷんの老化による食感の悪化を 抑制するため、マッシュポテトを市販の食品加工用のでんぷん分解 酵素(αーアミラーゼ)で処理し、でんぷんを適度に分解してみま した。すると甘みが増し流動性が高まりました。また、酵素処理し ない場合と比べて熱い時と冷めた後の食感の変化が少なくなり、解 凍時の離水も減少しました。
また、でんぷん分解酵素と糖転移酵素の両方で処理すると、でん ぷんの分解により生じた麦芽糖などの少糖から分岐オリゴ糖(イソ マルトオリゴ糖)が生成し、腸内環境改善などの機能性が生まれま した。 酵素処理することによりマッシュポテトに新たな特性が生ま れ、これまであまり利用されていなかった菓子類への利用が広がり ました。酵素処理したマッシュポテトを原料としたスイーツやプリ ンが商品化されています。
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◇北海道立食品加工研究センター 企画調整部
槇 賢治
TEL 011−387−4113
『きのこ』とは「担子菌類や子嚢菌類のうち比較的大きな子実体 を形成するものの通俗的な名称」で、シイタケやエノキタケの様な 食べられる軟質菌とメシマコブやサルノコシカケの様な木材のよう な硬質菌に分けられます。
栄養面でみると「おいしさの指標」になるグルタミン酸やアラニ ンなどの遊離アミノ酸は軟質菌に多くみられます。また、きのこに 比較的多く含まれるビタミンはビタミンB2、ナイアシン、エルゴ ステロールです。ビタミンB2はリボフラビンともいい動物の成長 に不可欠で、欠乏すると口唇炎や結膜炎など粘膜の炎症を起こしま す。ナイアシンは皮膚炎や口内炎を予防します。エルゴステロール はビタミンDの前駆体でカルシウムの吸収を助けます。このように きのこには遊離アミノ酸やビタミンが多く含まれ栄養価が高く、ま た繊維も豊富なため身体によい食品といえるのではないでしょうか。
とは言ってもやはり食品。「食べて美味しい」のが一番です。「旨 味」として日本人になじみ深いのはカツオブシのイノシン酸、昆布 のグルタミン酸、そしてきのこの5’-グアニル酸です。実はこの 5’-グアニル酸は、新鮮なきのこにはほとんど見られないのです が加熱などの調理過程で生成してきます。なお、エルゴステロール は紫外線に当たることによりビタミンDに変化するため、日干しで 作る干しシイタケは生ものよりビタミンDを多量に含み、その干し シイタケでダシを取ることで旨味である5’-グアニル酸をたくさん 得ることが出来るのです。
きのこの機能性としてよく言われるのが「抗腫瘍作用」です。サ ルノコシカケのような硬質菌で多くの研究があり、多糖類であるβ- グルカンなどが活性物質であるとされています。また血圧降下作用 や降コレステロール作用、血圧降下作用、抗炎症作用、降血糖作用、 抗ウイルス作用などが実験で確認されているきのこもあります。し かし、これらはほとんどラットなどを用いた動物実験または試験管 内での実験結果であり、ヒトに対する効果の有無は別の話です。実 際、シイタケに含まれるレンチナンやスエヒロタケ中のシゾフィラ ン、カワラタケ中のクレスチン以外日本では医薬品として認可を受 けていないので、『きのこでガンが治る』という訳にはいきません。 しかし食物繊維が多く、また動物実験とはいえ一定の効果が見られ るのもまた事実です。結論については今後の研究に期待しましょう。
「食品」には1次機能(栄養価)、2次機能(嗜好性)、3次機能(生 理活性)という3つの機能があります。きのこは1次機能にやや劣 りますが、他を兼ね備えた有望な機能性食品素材と言えます。しか し機能性に着目するあまり「身体に良いから食べる」では、サプリ メントと変わりありません。何より美味しく食べてこその「食品」 です。美味しいものを食べてストレスを取り除けば身体の免疫力も アップします。旨味も十分。シイタケ、エノキタケ、エリンギ、キ クラゲ、歯ごたえも千差万別。これからの季節、いろいろなきのこ を楽しんで下さい。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部機能開発科
渡邉 治
TEL 011−387−4124
昔から医食同源という言葉があるように、食生活は健康に最も大 きな影響を与えます。近年、日本やアメリカなど先進国では高カロ リーな食生活によって肥満者が増大の一途をたどっており、肥満が 原因となる、いわゆるメタボリックシンドローム(メタボ)が国際 的にも大きな社会問題となってきています。
メタボとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・ 高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態のことを言います が、簡単に言えば同じ肥満症でも病気を起こしやすい肥満症のこと で、外見上それほど太っていなくても実は病的肥満の人は意外に多 く、特に中高年の方々は要注意です。
日本国内では今年からメタボ健診が義務化され、ますます大きな 関心事となってきており、メタボ対策グッズや健康食品など多くの 商品が売られるようになっています。とりわけ食品については毎日 の食生活を見直すだけでなく、メタボ予防に役立つ成分を含む食品 が注目されており、今後も多くのトクホ商品やサプリメントが市場 に投入されることが予想されます。
さて、当センターではこれまでも食品の機能性について研究を行 ってきましたが、最近の研究で北海道の特産果実であるハスカップ やアロニアにメタボ予防に役立つ機能成分を多く含まれる事が明ら かとなってきました。ハスカップやアロニア果実には従来から目に 良いと言われるアントシアニンがブルーベリー以上に豊富に含まれ ていますが、アントシアニンの新しい機能性として抗肥満性が明ら かとなりメタボ予防にも期待出来る素材と考えられます。
さらに、アロニア果実中にはこれまで知られていなかった脂肪を 分解促進させる新しい機能成分が含まれ、血液中の中性脂肪や悪玉 コレステロールを低減させる機能があることが培養細胞や実験動物 を使った研究で明らかになってきました。この機能成分については 現在も研究を継続しており、アロニア果実のメタボ予防食品素材と しての利用可能性を追求しています。この他にも北海道にはメタボ 予防に役立つ食材が豊富にあることが期待でき、今後も北海道の特 徴ある食材をメタボ予防に活かす食品の技術開発を行っていきたい と考えています。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部農産食品科
太田 智樹
TEL 011−387−4120
食品のにおい(香り)は、品質や嗜好を左右する重要な要素です。人間 は、香りを鼻にある嗅(きゅう)覚受容体という部位で認識し、その刺激を 脳で解析して感じています。人間の嗅覚はにおいの種類や強さに対する 感度が非常に高く、優れたにおい解析能力を有しています。
食品のにおいを評価するには、官能評価法が主流です。これは、人間 が実際にサンプルのにおいを嗅いで、その特徴を表現したり、得点をつ けたりする手法です。官能評価は、人間の嗅覚と表現能力を用いた優れ た評価法ではありますが、いくつかの課題も指摘されています。一つは、 嗅覚疲労と呼ばれる現象で、人間の嗅覚は、同じにおいを嗅ぐと徐々に 感度が低下する、すなわちにおいを識別する能力が低下することが知ら れています。このため、一度に評価できるサンプル数に制限があり、微弱 なにおいの場合には、一日数点のサンプルしか評価できない、ということ もあります。また、その食品のにおいの特徴を感じ、適切な言葉で表現す るためには、優れた評価者(パネラー)を訓練し、育成する必要がありま す。さらに、優れたパネラーでも、体調によってにおいを感じる能力に狂 いが生じます。
このように、官能評価は優れた評価法ではありますが、食品業界の中 小企業にとっては、難易度の高い評価法でもあります。そのため、官能 評価に変わる機器分析が求められてきました。食加研では、「におい識 別装置」を用いて、食品のにおいの評価について研究を進めています。
におい識別装置は、人間の嗅覚組織をモデルとした構成をとっています。 におい物質に対して特性の異なる複数のセンサを装備し、センサの出力 パターンを解析して、においの特徴をグループ分けするなど、グラフィカル に表現することができます。また、食品は、最初に鼻で感じるにおいや、 口に含んでから感じるにおいなど、非常に複雑な特徴を有していますが、 これらの特徴を「トップノート」、「ラストノート」という表現で評価することも 可能です。
食加研では、様々な食品のにおいについて、この「におい識別装置」を 用いて評価を行っています。この装置は、食品専門の装置ではないため、 まだまだデータの蓄積が充分とはいえず、私たちも装置を使いこなすた めに様々な検討を加えています。メーカーとの情報交換により、新しい解 析法も開発され、さらに洗練された解析が可能になってきています。
今後も、食加研では、におい識別装置の活用と食品のにおい評価技術 の検討を進めていきますので、ご相談やお問い合わせをお寄せいただき たいと思います。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部バイオテクノロジー科
奥村 幸広
TEL 011−387−4125
皆さんは「亜臨界水」という言葉をご存じでしょうか。耐圧性容器中で温 度200〜300℃前後まで水を加熱すると「亜臨界水」と呼ばれる高温高 圧の熱水になります。この中に食品のタンパク質を入れるとペプチド(ア ミノ酸が複数結合した化合物)、アミノ酸、アンモニア等へと次第に分解さ れることが知られており、このペプチドの中には高血圧抑制機能を持つ ペプチドが含まれる可能性があります。こうした中、企業から「亜臨界水」 が高血圧抑制食品素材の製造工程(酵素分解)の代替にならないかとの 検討依頼がありました。
そこで、サケの加工副産物(頭部・内臓)ホタテガイ加工副産物(内臓等) から高血圧抑制食品素材(ペプチド)を効率的に生成する亜臨界水処理 条件を検討しました。その結果、最適条件で得られた乾燥粉末サンプル と市販の高血圧抑制機能素材(イワシ、カツオ由来)を含有した特定保健 用食品の高血圧抑制機能を比較したところほぼ同レベルであることが明 らかになりました。
実用化には様々な検討が必要ですが、この技術は高血圧抑制食品素 材の製造のみならず調味料製造など従来の酵素処理の代替技術として 今後その応用技術開発による実用化が期待されます。
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◇北海道立食品加工研究センター 企画調整部相談指導科
錦織 孝史
TEL 011−387−4115
エゾシカは、明治初期の大雪と乱獲によって一時、絶滅寸前にまで激 減しましたが、保護政策や土地利用の変化、暖冬などによりその生息数 を徐々に増やし、それに伴って道東地域を中心に農林業被害や交通事 故が急増しはじめ、ついに平成8年には林業被害が50億円を超えるほど の深刻な事態となりました。
このようなことから、道では平成9年以降、絶滅を回避しながら一定の 生息数を保つ適正な保護管理に努めてきました。しかし、一時減少傾向 にあったエゾシカの生息数ですが、それでも適正数には遠く、近年ではま た増加する傾向にあります。
そこで、道では平成17年度からエゾシカを有効資源として捉え、「エゾシ カ有効活用推進事業」に取り組み、産学官連携の検討委員会を発足し、 エゾシカの有効活用について、様々な面で検討を行ってきました。そして、 平成18年10月に「エゾシカ有効活用のガイドライン」を作成し、さらに肉の 利用に関しては「エゾシカ衛生処理マニュアル」を作成し、安心な食肉を 提供できる指針が示されました。すでにこれらのガイドライン、マニュアル に沿って取り扱われたエゾシカ肉が販売されており、今後はこれらのガイ ドライン、マニュアルを遵守していることが基本となって行くことでしょう。
さて、そのエゾシカ肉ですが、最近の知見では、エゾシカ肉は牛肉、豚 肉に比べ脂肪が少なく、鉄分が豊富であることが報告されています。簡 単に言えばヘルシーで体にいいというわけです。そのようなエゾシカ肉に ついて、当センターでも昨年からエゾシカ肉の品質と加工の研究に取り 組んでおり、その肉質や加工適正について明らかにするとともに、新たな 加工法の開発に取り組んでいます。フランスをはじめ、ヨーロッパでは狩 猟された野生動物の肉はジビエと呼ばれ、高級食材として珍重されてい ます。シカもそのうちの一つです。畜肉とは一味違ったエゾシカ肉を、ぜひ ご賞味ください。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部畜産食品科
山田 加一郎
TEL 011−387−4118
多くの人が小豆と聞くと、餡、あんパン、おはぎ、羊羹、赤飯などが思い 浮かぶと思います。小豆を使った食品は多いですが、ほとんどが小豆の 加工品である餡が利用されています。小豆は約70%が餡に加工され、お 菓子やいろいろな食品の原料などになっています。近年、和菓子の需要 の低下や加糖餡の輸入などにより国産小豆の需要は低下しており、新た な用途の開発が必要となっています。
小豆の成分の約半分がでんぷんです。でんぷんが有ればお酒やお酢を 作ることが出来るのですが、これまで造られることはありませんでした。そ の大きな理由は、小豆が餡になることなのです。小豆が餡になる時、でん ぷんは熱で変化したたんぱく質の膜に覆われてしまいます。この状態を餡 粒子と言います。餡粒子は醸造で用いられる麹の作用を受けづらく、従来 の方法ではお酒やお酢の原料とすることが出来ないのです。
小豆からお酒を造るためには、餡粒子を崩壊させ中にあるでんぷんを ぶどう糖に変える必要があります。このブドウ糖を酵母がアルコールに変 えることでお酒になります。お酢はさらに、お酒を酢酸菌で発酵することに より造られます。
当センターと(株)丸勝は小豆からお酢を作る共同研究を実施し、餡粒 子の分解方法、アルコール発酵及び酢酸発酵の検討を実施して、小豆 からお酢を造る方法を見出しました。本醸造方法によって開発されたお 酢とその製造方法は特許として登録され、世界的にも珍しい「あずき酢」 が商品化に至りました。本技術は、金時豆、白いんげん豆、ながいも、 かぼちゃにも応用され、これらを原料としたお酢も商品化されています。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部発酵食品科
田村 吉史
TEL 011−387−4122
北海道の2006年現在での65歳以上人口は約121万人(高齢化率は 21.55%、全国平均は20.7%)で、2025年にはピークに達し、162万 人になると予想されています。このような高齢化時代を迎えるに当たって、 食品企業は、「高齢者の生活の質(QOL)の向上や国民・道民の予防医 療や健康寿命への貢献」という姿勢の下に、高齢者向け食品を新しいビジ ネス分野として開拓していくことが必要かと思います。
「高齢者」と一概に言っても様々な状態の方が居られます。これらの方々 全てに細かく対応した加工食品の提供は困難ですが、一般的に高齢者向 け食品に求められることとしては、
1 柔らかく飲み込み易い
2 高齢者が食べきれるだけの量で栄養素が摂取できる
3 伝統や地域性などを加味した食材を使用する
4 目で見て食欲がそそられ、おいしく食べられる
5 バリエーションが豊富である
6 高血圧、糖尿、便通など高齢者の健康に配慮する
7 便臭や体臭が改善される
8 安全性が高い
などといったことを挙げることができます。これらの事を念頭において高 齢者向け食品の開発に取り組むと良いかと思います。
当センターでも昨年度より高齢者向け食品に関する試験研究に取り組 んでおり、今年度からは道の重点研究として「老健施設・病院等において 用いる高齢者にやさしい食品の加工技術の開発」に取り組んでいます。
この試験研究では、高齢者に対し、安全でおいしく栄養のある、そして 楽しく食べられる食事を提供することができるよう、湯せんなど簡易かつ 短時間の調理で済む半調理食材や、ペースト化した食材をゲル化剤等で 成形した、解凍時のドリップが少ない冷凍ソフト食の研究開発を行うことと しています。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部
部長 長島 浩二
TEL 011−387−4128
北海道の生乳は良質で、道内では数多くのチーズ製造者が個性的なチ ーズを生産しています。今回、そんな北海道の生乳から分離されたプロピ オン酸菌について紹介したいと思います。
乳酸を作るのが乳酸菌だとするとプロピオン酸を作るのがプロピオン酸 菌となるでしょうか。あまりなじみのない微生物ですが、次のことを思い浮 かべていただければ親しみがもてると思います。ネズミとチーズが引き合 いに出されることがよくあり、ネズミがチーズの穴から顔を出しているよう な漫画を目にすることがあります。このチーズはスイスタイプのエメンター ルで、プロピオン酸菌の発酵によって特徴的なガスホールが形成されて ます。イメージできたでしょうか?
ところで、チーズを作る場合スターターと呼ばれる多量の乳酸菌を使用 して乳酸発酵を行います。しかし、チーズの味や風味を決定するのはス ターターとして添加する多数派の微生物ばかりではなく、少数派の微生物 も大きく関与しています。プロピオン酸菌の作るプロピオン酸は多量に存 在すると悪臭と認識されることがあります。しかし、ほんの少しのプロピオ ン酸菌の活躍でナッツのような特徴的な風味と他のチーズには見られな い大きなガスホールがあたえられるのです。プロピオン酸菌もそんな重要 な少数派微生物のひとつといえます。
当センターでは北海道の乳環境からいくつかのプロピオン酸菌を分離 して、その利用を検討してきました。その結果ビフィズス菌増殖性を示す などいくつかの有用な性質を持ったプロピオン酸菌が確認されています。 さらにこれらの菌を利用した乳製品(発酵乳、チーズ)の開発に取り組み、 発酵乳などの製品化に結びつけています。北海道の乳素材、乳環境に は今回分離したプロピオン酸菌のほか、乳酸菌などの利用できる有用な 微生物が多数存在しているものと思われます。このような研究成果を活 用し、オリジナルな製品の開発ができればと思います。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品開発部畜産食品科
川上 誠
TEL 011−387−4118
食品製造に携わっている者にとって、微生物は厳重に管理しなければ ならない「敵」である場合が多い。様々な事故やクレームの原因となり、 時には経営が危うくなることすら想定されます。特に最近は、食の安全が 重要な社会問題となっており、微生物管理のために多くの資金と手間を かけなければならなくなってきました。
一方で、人類は昔から微生物のしくみをうまく利用し、様々な食品や飲 料を生み出してきました。偶然や経験を組み合わせ、漬け物、味噌、醤 油、日本酒、納豆、ヨーグルト、チーズ、パン、ワイン、ビールなどが作り 出されてきました。みなさんご存じのように、微生物を利用して食品を加 工することを「発酵」といい、いわゆる「バイオテクノロジー」は、この発酵 に関わる知識や技術を基礎にして発展してきました。
これらの発酵食品を作る際に活躍する微生物は、大きく分けて酵母、乳 酸菌、カビの3種類です。酵母はアルコール飲料を作る際に最も活躍する 微生物で、他の微生物が(ほとんど)持っていない、アルコールと炭酸ガス をつくる性質を人間が利用しています。発酵食品に使われるカビの仲間は、 もちろん安全な種類のカビで、日本ではコウジカビが最も有名です。コウジ カビは、澱粉を糖分に分解する酵素や、蛋白質をアミノ酸(うま味成分など )に分解する酵素を大量に作る性質を持っていて、この性質を利用して味 噌や醤油、日本酒、甘酒、一部の漬け物などに使われています。乳酸菌 は漬け物、味噌、醤油、チーズ、ヨーグルトなどを作る際に働く微生物で、 食品に酸味を加え、それにより他の菌による腐敗を防いだりしています。
近年、様々な健康機能をもつ乳酸菌を使った製品が売られていますが、 これらの乳酸菌は生きたまま腸にまで到達し、多量の酸(乳酸、酢酸)を 作ります。この酸が、腸内のいわゆる「悪玉菌」(有害菌)の増加を抑え、 腸内腐敗を防止しています。また、作られた有機酸は腸の運動を活発に する働きもあり、栄養素の吸収が向上したり便通が改善したりします。更 に、最近の研究で、これら乳酸菌の中には腸内で作られた有害物質を吸 収して便と共に体外に出てくれたり、免疫機能を高める働きを持つ乳酸菌 がいることも判ってきました。このよう健康機能を有する乳酸菌のことをプ ロバイオティック乳酸菌といい、様々な有効性や安全性を示す実験データ の審査を受け、特定保健用食品(特保)の表示許可を得た製品も売られ ています。もちろん、同じような性質を持っていても、許可を受けていない ものは「特保」の表示はできません。
北海道立食品加工研究センターでも、天然界から様々な乳酸菌を分離、 保存しています。その中から、免疫調節機能に働きかける作用のある乳 酸菌を見つけ出すことを目的として、日生バイオ株式会社との共同研究 を行いました。当センターで保存していた乳酸菌の中の13菌株を、それ ぞれマウスの脾臓細胞の培養液中に加え、免疫機能を高める働きとアレ ルギーを抑える働きについて測定してみました。その結果、ペディオコッカ ス・ペントサセウスの1株が両方の働きとも強いことが判明し、特許の共同 出願を行いました(特許公開2008−54556)。
当センターでは今後とも、有用な機能を有する微生物を活用した技術開 発を行い、実用化に結びつけていきます。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部バイオテクノロジー科
担当:八十川大輔
TEL 011−387−4125
私たちの子供の頃を思い出すと、ホタテ貝は高価であり、店頭にもあま り並んでおらず、なかなか食べられなかったと記憶しています。それもそ のはずで、昭和50年代前半のホタテ貝の生産量は、現在の1/4程度 の約10万トンでした。しかし、その後、水産・漁業関係者の皆様のご尽力 により「地まき」や「耳づり」方式等の増殖・生産技術の改良などがなされ、 平成に入り飛躍的に生産量が約40万トンまで増加し、今日ではホタテ貝 が通年手軽に手に入り、美味しいホタテ貝を楽しむことが出来るようにな りました。
ホタテ貝は、貝柱等をむき身し生食用として生鮮市場に流通されるほか、 道内各地の食品加工場で乾燥・冷凍・加熱・調味等の多種多様な加工 が行われ、加工製品は国内外に広く流通されています。しかし、ホタテ貝 の約52%を占める貝殻は、加工残渣となり漁業系廃棄物として年間20 万トン程度排出され土木資材などに利用していますが、まだ多くの貝殻が 再利用されておらず貝殻の用途拡大のための技術開発が求められてい ました。
ホタテ貝殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)で、これを1000℃程 度で焼成すると、主成分である炭酸カルシウムは、熱分解反応により酸 化カルシウム(CaO)に変化し(CaCO3→CaO+CO2)、さらに酸化カルシ ウムを水と反応させると、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)になります(CaO +H2O→Ca(OH)2)。
3種類のカルシウム化合物のうち、酸化カルシウムと水酸化カルシウム が抗菌機能を発揮することが知られています。そこで、当センターは、共 同研究機関である北海道共同石灰(株)製のホタテ貝殻カルシウム製剤( 食品添加物、商品名シェルライムHT)の抗菌効果について検討しました。
その結果、サルモネラ、大腸菌O-157、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌 や食品を変敗させる細菌、酵母、カビなど、試験に用いた15種類の微生 物に対し抗菌効果を有すことを明らかにしました。今日ではカット野菜など の食品の洗浄工程に用いられているほか、抗カビ袋、抗菌紙の開発に利 用されるなど用途が拡がっています。
ホタテ貝殻は、北海道の海が生んだ貴重な資源であり、産学官の多くの 方々の創意工夫により、新たな利用技術や製品開発がされ、有効な資源 として利用することが可能となっています。また、抗菌機能を有するホタテ 貝殻カルシウム製剤は、道内外の企業はもとより、韓国などの近隣アジア 諸国からも注目され、利用されはじめています。ホタテ貝殻の利用技術や 製品開発は、食品産業の振興や環境負荷の低減に貢献できるため、当 センターでは今後とも研究開発を一層進めていくとともに、利用技術の移 転、普及に努めていきます。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部
担当:清水、柿本
TEL 011−011−387−4126
『亜麻』という作物や、その種子油である亜麻仁油をご存知でしょうか? 仕事柄、ジャガイモやニンジンなどを原料とした北海道ならではの加工工 場に対応した仕事が多いのですが、数年前より『亜麻』に関する仕事にも 要望があって、継続して取組んでおります。
亜麻は、今でこそ地域振興的な色彩の作物ですが、昭和20年には、道 内で4万へクタール(ha)も大規模栽培されていました。過去の亜麻の栽 培面積は、現在のてん采(6.8万ha)やジャガイモ(5.6万ha)に匹敵し、 大豆(2.1万ha)や小豆(2.8万ha)を超えていました。
当時の亜麻の用途は、茎から繊維(リネン)を採る製麻業の原料で、そ の製品はテントや軍服など軍需向けが主であり、道内製麻工場は85ヶ所 もあったと記録されています。しかし、終戦後、軍需の激減と化学繊維の 台頭とともに、亜麻産業およびその栽培は縮小し、昭和43年に、契約栽 培が打ち切られたことで、北海道から亜麻の姿は消えてしまいました。
このことで思うのは、当然のことですが、経済的な目的や価値がなくな ると、原料栽培(亜麻)から加工工場(繊維)、そしてその販売・流通まで の一連の大きな事業体が、いとも簡単に消えてなくなってしまうのだと、当 たり前のように見ている周囲の景観も実はけっこう人為的なものも多く、 社会の変化とともに突然に姿を消してしまうことは今後も生じるのだと、 あらためて認識しました。(過去のハッカや石炭も同様に思います)
さて、最近対応している亜麻の取り組みは、40年ぶりに亜麻産業を復 活させた(有)亜麻公社と(有)北国生活者へのサポートです。彼らは、平成 13年に亜麻の試験栽培に着手し、亜麻種子から亜麻仁油を絞る食品用 途を主事業とし、亜麻の栽培普及活動も行っています。保健機能をもつ 亜麻仁油からサプリメントやドレッシングを製造・販売することで、年々契 約栽培を拡大し、今では10haに達しようとしています。また、当別町など の亜麻による地域振興や、札幌市麻生の亜麻まつりに協賛するなど、熱 意あふれるものです。
当センターでは、平成17年に共同研究「亜麻仁油の品質向上技術と搾 油残渣の有効活用技術の開発」を行って、彼らの亜麻産業の復活に協力 しました。このとき、ノーステック財団の佐藤コーディネーターより、亜麻原 料の品質を高めるための取組みが最も大事であるとの助言から、研究終 了後も、亜麻仁油の原料特性の基礎試験を何らかの形で継続して行って おります。これは、農産食品加工の基本中の基本と思います。
それから、料理の上手な友人に「亜麻仁油や亜麻種子の新しい食べ方 を考えてほしい」と頼んだところ、「レタスなどに塩・胡椒した後、シンプル に亜麻仁油をぶっかけるサラダ」と「焙煎した亜麻種子粉末を配合したク ッキー」を試作してもらいました。亜麻の魅力をひき出したこの2つの試作 品は格別に美味しかったので、これから商品化の提案を目指すところで す。美味しい食べ物には、自然と人が集まるので、いいアイディアをもらっ たり、時にはご示唆をいただいたりと、それは仕事柄ありがたく助かってお ります。
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◇北海道立食品加工研究センター 企画調整部技術情報科
担当:中野
TEL 011−387−4114
− 過熱水蒸気処理技術のメカニズムとメリット −1.はじめに
最近になって「過熱水蒸気」という言葉がテレビのコマーシャルでも聞か れるようになってきました。この「過熱水蒸気」とはいったいどのようなもの なのでしょうか。「水の炎」などと言われる場合もあるようです。
過熱水蒸気は簡単に言うと、水を乾かすことのできる高温水蒸気のこと です。「水で水を乾かす?」。混乱される方もいらっしゃるかもしれません。 でも、この特徴が食品加工には様々な効果をもたらすことがわかってきま した。ここでは過熱水蒸気の特性と食品加工に用いた場合の効果につい てご紹介いたします。
2.過熱水蒸気とは?
沸騰した水から発生するのは水蒸気です。それをさらに加熱して100℃ 以上の状態にした高温水蒸気が「過熱水蒸気」です。白く見える湯気(ゆ げ)と違い、過熱水蒸気は無色透明です。身近な例では、沸騰したヤカン の注ぎ口や蒸気機関車の排気口からでてくる水蒸気の透明な部分が、過 熱水蒸気です。
過熱水蒸気を使った食品の加熱では、他の加熱方法とは少し違った状 態で加熱が行われます。たとえば、過熱水蒸気でジャガイモを加熱した場 合では、まず最初に、冷たいジャガイモに触れた過熱水蒸気は凝縮して表 面に付着し、その時の熱がジャガイモに伝わって加熱され始めます。この 段階の加熱は普通の「蒸し」と同じ状態です。
次いで、ジャガイモの表面にある水分は100℃以上の過熱水蒸気によ って加熱され、やがて100℃に達した時点で、表面の水分の蒸発が始ま ります。そして、表面が乾燥すると過熱水蒸気の100℃以上の熱でジャガ イモが加熱されます。この段階での加熱は「焼き」の状態に近くなります。
3.過熱水蒸気と食品加工
食品加工では様々な加熱方法が用いられていますが、そのほとんどは 湿熱加熱(蒸す方法や煮る方法)か乾熱加熱(熱風乾燥や遠赤外線のよ うな加熱方法)に分けて使われており、加熱された食品はどちらかの加熱 方法の特徴を濃く反映した品質となります。これは煮た魚と焼いた魚では、 風味や外観が大きく異なっていることでも容易に理解できると思います。
しかし、過熱水蒸気処理では上述したように、加熱初期は湿熱加熱であ り、表面が乾燥した後では乾熱加熱に移行します。この一つの加熱処理 の中で湿熱加熱と乾熱加熱を行うことができることが過熱水蒸気処理の 最大の特徴なのです。ここでは過熱水蒸気の特徴的な効果について説明 いたします。
a)エキス低減抑制効果
食品の中には生では流通できないものが数多くあります。これは生のま まで保存すると自分の持つ酵素によって溶けてしまったり、変色してしまう ことと、微生物の繁殖によって腐ってしまうためです。そのため、生鮮流通 できない食材では加熱処理を行って殺菌や酵素失活を行った後に冷蔵ま たは冷凍して保存します。
この時の加熱にはブランチング(煮る)処理が用いられますが、食材によ っては水溶性の栄養成分などの流出も起きてしまい、品質劣化が起きて しまいます。例えばホタテやバレイショなどを煮ると、うまみ成分のアミノ酸 や糖分などが、20〜60%も煮汁に流出してしまいます。
蒸した場合でもドリップがしたたり落ちるために、やはり同じくらいの栄養 成分が失われてしまいます。一方、過熱水蒸気の場合は加熱初期は表面 に水分が付着しますが、次第に表面が乾燥して加熱が行われるために、 栄養成分の損失はほとんど起こりません。
また、ホタテなどを煮た場合では加熱初期にタンパク質変性が起きるた めに急激に縮んでしまいますが、過熱水蒸気では温度や蒸気量などを制 御することで、あまり縮まない条件で製造することも可能です。これらのこ とから、過熱水蒸気処理では煮るや蒸す方法と比較して、栄養成分が多 く、ふっくらした状態で製品を作ることが可能となります。
b)色調改善効果と物性改善効果
食品の色は食品の品質を評価する上で重要な要素であり、消費者は美 味しそうな色をしている食材を選んで購入します。しかし、食品の色素は概 して不安定であり、加熱工程で退色や変色が起きたり、ボイル工程中に色 素が損失するため、鮮やかな色調を保持することは難しいと言われていま す。
過熱水蒸気処理を行った加工食品は従来の加熱方法と比較して「色上 がり」、「食感」が非常に良いといった評価が得られています。これらの現 象は過熱水蒸気による表面組織の急激な乾燥収縮がその主要因と考え られています。
「色上がり」については表面付近の水分含量が急激に減少するために、 相対的に色素成分の濃縮が起こり、視覚的に色彩が濃くなっていると考 えられています。また、「食感」については表面組織に乾燥した繊維の膜 が形成されるために、噛む時に大きな力が必要となり、結果として「歯ご たえが良い」と感じていると考えられています。実際にアスパラガスで試 験を行ってみたところ、ボイルしたアスパラガスは薄い緑色ですが、過熱 水蒸気処理したアスパラガスは濃い緑色でシャキッとした食感であるこ とがわかりました。
c)表面殺菌効果
過熱水蒸気は100℃以上の高温水蒸気であり,100℃以下の湿熱処理 としての効果とともに自らの熱量による乾燥効果を併せもつため、理論上 ではレトルト処理に匹敵する高い表面殺菌効果が期待できます。実際の 処理では食品内部は100℃以上にならないため完全殺菌は不可能です が、過熱水蒸気の特性を利用することで食品内部の熱変性を最小限に 抑制し、かつ食品表面の大幅な菌数低下が期待できるメリットがあります。
加えて、過熱水蒸気処理後の食品表面は乾燥していることから、残存 微生物の二次汚染も抑制できる効果もあります。加工食品にはカット野 菜や水産珍味などの加熱処理が困難な製品が多数存在し、近年の衛生 管理に対する関心の高まりや小売店や流通業界による自主規格の設定 から製品の菌数制御に腐心している食品メーカーも多くなっています。そ のため、過熱水蒸気による表面殺菌技術にも関心が高まっています。
4.おわりに
過熱水蒸気には上記の効果の他にも、加熱時の酸化防止効果、脱臭 効果、表面改質効果、冷凍耐性向上効果などがあることもわかってきて います。また、これらの効果を実際の製品に応用した製品も発売され始 めており、今後も過熱水蒸気を用いた加工食品が増えていくだろうと思 います。
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<<お問い合わせ先>> ◇北海道立食品加工研究センター 企画調整部相談指導科 担当:阿部 TEL 011−387−4115 ※当センターでは、過熱水蒸気処理技術のわかりやすいパンフレットを 作成いたしました。 ご希望の方は、担当までお問い合わせ下さい。
「電気で加熱」といっても電気ヒーターを使うわけではありません。電子 レンジでもありません。食品自体に電気を流してしまうのです。電気を流 すと食品の持つ電気抵抗で、まるでニクロム線の様に熱が発生します。 これを加熱処理に利用するのです。
電気エネルギーを熱に変えるという点では電子レンジ(マイクロ波加熱) と同じですが、電気エネルギーを一度マイクロ波に変換するという遠回り はしません。流した電気が食品の電気抵抗で直接、熱に変換されます。 だからとっても変換効率が高いのです。しかも電流が流れている食品し か発熱しません。
使った電気エネルギーが高い効率で加熱に利用できる・・・、「地球温 暖化対策」、「省エネ」の時代にマッチしていると思いませんか?
紹介が遅れてしまいましたが、この技術は「通電加熱」といいます。他 にも「ジュール加熱」、「オーミック・ヒーティング」などの呼び名もあります。 変換効率が高いという特徴以外にも食品自体が発熱するので食品全体 を均一に素早く加熱できるという大きな特徴があります。ですから、大き な食材を素早く加熱したい…という場合に使える技術なのです。
今回、目を付けたのが食肉製品製造時の加熱です。ボンレスハムは通 常、スモークハウスの中で長い時間をかけて加熱されています。今回行っ た研究の中で、加熱時間をかなり短縮出来ることを確認しました。また、 出来上がりの品質は従来方法のものと比べて差がないことも確認しまし た。さらに電流の大きさを調整することで食感も変えられることがわかっ たのです。
実用化には、いくつかの検討項目が残っているのですが、食肉製品加 工分野での生産効率の向上や省エネルギー技術の一つとして注目に値 する技術だと思います。
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◇北海道立食品加工研究センター 応用技術部
担当:熊林
TEL 011−387−4126
果汁を酵母で発酵させてやると、果汁中の糖分がアルコールに変化し、いわゆるお 酒になり、ワインになります。そんな「ワイン」には、酵母以外の微生物も関わっている のをご存知でしょうか?それが今回お話する乳酸菌です。
この乳酸菌、名前を「マロラクティック発酵乳酸菌」と言います。ちょっと聞いたことの ない名前です。どんなことをしているかといいますと、アルコール発酵が終わったワインの中で、リンゴ酸という有機酸を乳酸に変える働きをしています。この働きをマロラクティック発酵(MLF)と呼びます。リンゴ酸は、酸味の強い有機酸です。これが乳酸に変わると、酸味が和らぎ、ワインの味がまろやかになり、ワインの品質を向上させることができます。
ただこの「マロラクティック発酵乳酸菌」は、寒さや酸っぱさに少し弱い性質があります。温度が低かったり、酸性が強かったりすると、あまり働いてくれなくなります。地球 温暖化で暑くなってきた(!?)とはいえ、北海道はまだまだ寒冷地。採れるブドウの酸味 も強い傾向にあるので、北海道では、なかなか元気に働いてくれません。
そんな「マロラクティック発酵乳酸菌」の仲間の中から、今までよりも、寒さや酸味に強い菌株を、北海道のワインの中から見つけて、「TOKACHI-IKEDA-02」と名付けました。
この新しい乳酸菌をワイン作りに使えば、そのワインの味は酸味が和らぎ、まろやかになります。これからも、北海道のワイン作りに微力ながら、力を尽くしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
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◇北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部バイオテクノロジー科
担当:橋渡
TEL 011−387−4125
ニシンは江戸時代から蝦夷(北海道)の代表的な海産物で、ニシン御殿が建てられるなど明治〜大正時代には全盛期をむかえ、大量に取れたことから、乾燥保存の方法がとられました。
これが所謂『ミガキニシン』です。
現在は低温除湿乾燥機で干しているため、安定した製品が作られていますが、従来は脂分が多い魚であるため、内部までゆっくり乾燥させないと腐ってしまうデリケートな魚であることから、熟練の技術が要求され、寒風が吹く季節の北国でしかつくれない、まさに北海道の特産物でした。
最近ではニシンがほとんど捕れなくなってしまいましたが、ミガキニシンは日本各地の伝統的な郷土料理に利用されていることから、その需要はそれほど減っておらず、平成17年でも国内生産量は約1万トンに達し、その約89%が北海道で製造されています。
この量は数の子、タラコ、スルメに匹敵し、今でも北海道にとって重要な水産加工品として君臨しています。
このようなミガキニシンですが、菌数が少ないほうが良品であるという風潮から、腐敗していないにもかかわらず菌数が多いため、製造業者が出荷に苦慮している状況にあります。
しかし、製造者の中では最高に旨いミガキニシンでも菌数が多く出ることから、菌が悪者だとは言えないという職人の勘があるようです。
そこで、当センターでは岩内町地場産業サポートセンターの協力のもと、細菌数の最も多い八分乾ミガキニシンの細菌について、遺伝子解析手法などを用いて調べ、職人の勘を確かめようと試みました。
その試験の結果、Stapyhlococcus属の細菌が最も優勢の細菌として検出されました。この菌は伝統的なギリシャのサラミソーセージでも検出され、製品の高品質化に寄与していると推定されています。また、ヨーロッパ各地で古くから作られている多くの発酵食肉製品でも熟成過程でStapyhlococcus属の細菌類が繁殖して、独特の味わいをもつ旨い肉になることが知られています。
今後さらに研究を進め明らかにしてまいりますが、ヨーロッパ伝統の肉製品と島国日本の伝統的な干魚で、共通の発酵微生物が関与していれば何とも興味深く、もしかすると、他の多くの水産乾物でも同じような熟成機構が働いているかもしれません。
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◇北海道立食品加工研究センター企画調整部 技術情報科
担当:中川
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北海道の養豚産業は、全国第5位を占める重要な基幹産業です。また、近年の食肉加工品消費量の伸び悩みから、新たな需要を喚起できる新製品の開発が待望されています。
欧米では食肉に微生物を作用させて風味の醸成をはかり、保存性を賦与した発酵食肉製品が古くから消費されてきましたが、我が国ではまだ歴史が浅く、消費量も限られています。 しかし、近年の食の洋風化、多様化により発酵食肉製品は、今後大きな消費量の拡大が見込める商品であるといえます。
そこで研究課題「道産有用微生物を利用した新規食肉製品の開発(H16〜18)」を実施して、道内で微生物を採取することによって、これらの製造に適した微生物を選抜し、本道の冷涼、乾燥した発酵食肉製品製造に適した気候条件を十分に生かし、新たな風味を持ち、保存性を兼ね備えた日本人の嗜好にあった食肉製品の開発を行いました。
この研究により、道内から発酵食肉製品製造に適した微生物スタ−タ−2株を選抜し、発酵生ハムの製造条件を検討した結果、熟成風味に富む高品質の非加熱発酵食肉製品の短期間での製造が可能となりました。 また、本研究の成果は、札幌バルナバハム株式会社(現 札幌バルナバフーズ(株))に技術移転され、同社は、「乳酸菌発酵 北海道産生ハム」として、平成19年5月から販売開始しました。この商品は、平成18年度北海道新技術・新製品開発賞「大賞」を受賞しました。
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◇北海道立食品加工研究センター食品開発部 畜産食品科
井上・川上・山田
TEL 011-387-4118